保険代理店の転職先を検討する際は、売上高から経営の安定性を確認することが大切です。
売上高からは、世間からの認知度や店舗数、売上に対する姿勢、安定性など、さまざまな要素が見えてきます。ただし、売上高が高いからといって、自身にとって理想の職場とは限りません。
そこで今回は、保険代理店の売上ランキングを紹介するとともに、転職先を選ぶときに売上高以外に注目したいポイントなどについて詳しく解説します。
目次
保険代理店の売上ランキング
保険代理店の売上高は、年度によって大きく異なる場合があります。
また、売上高が高くても利益率が低い場合もあるため注意が必要です。
ここでは、2022年度における保険代理店の売上ランキングを紹介します。
※調査日:本記事を制作した2023年4月
株式会社FPパートナー
株式会社FPパートナーの売上高は約256億円です。2017年の100億円から少しずつ売上高が増えており、同時に営業利益も増加傾向にあることから経営は順調と言えるでしょう。
事業内容は次のとおりです。
- 無料でFPにWeb相談できる「マネードクター」の運営
- 生命保険、損害保険の販売やコンサルティングなど
- 金融商品に関するファイナンシャルプランニング業務
提携している生命保険会社は29社、損害保険会社は11社です(2023年4月時点※同社HPよりhttps://fpp.jp/overview/about/)。展開している事業の中でもマネードクターはテレビCMで知名度が一気に上昇したことで、今後も売上高が増加することが見込まれます。
株式会社ナローピーク
株式会社ナローピーク(旧株式会社NFCホールディングス)の売上高は約228億円です。2016年の296億円から売上高・営業利益ともに減少傾向にあります。事業内容は次のとおりです。
- 生命保険および損害保険における保険サービス事業
- 派遣コンサルティング事業
- 共同募集事業
- 体制整備コンサルティング事業
- メディア事業
最上級のコンプライアンス体制で他社との差別化を図っており、100人体制で適正な募集に向けた監視・確認を行っています。
保険業界ではコンプライアンスが度々問題となるため、コンプライアンス体制の構築に力を入れている同社の動向は注視したいところでしょう。
参考:EDINET/株式会社ナローピーク(旧株式会社NFCホールディングス)有価証券報告書
株式会社アドバンスクリエイト
株式会社アドバンスクリエイトの売上高は約119億円です。2016年の73億円から営業利益とともに増加傾向にあります。事業内容は次のとおりです。
- 保険代理店事業
- メディア事業
- 再保険事業
- ASP事業
- BPO事業
- メディアレップ事業
中でも注目すべきは日本最大級の保険比較サイト「保険市場」を運営していることでしょう。
また、純広告事業および広告運用事業により、保険会社のマーケティング戦略を立案・実行している点も、他の保険代理店とは異なる部分です。
参考:EDINET/株式会社アドバンスクリエイト有価証券報告書
株式会社アイリックコーポレーション
株式会社アイリックコーポレーションの売上高は約52億円です。2016年の24.3億円から増加傾向にありますが、営業利益は2019年以降減少しています。事業内容は次のとおりです。
- 生命保険、損害保険販売事業
- ソリューション事業
- システム事業
幅広くフランチャイズ展開していることから経営の安定性は高いと言えるでしょう。
また、ソリューション事業やシステム事業も展開しており、収益分散ができています。
売上高と営業利益がほぼ比例しているため、健全な経営状況であることがうかがえます。
参考:EDINET/株式会社アイリックコーポレーション有価証券報告書
保険代理店業界の特徴
保険代理店は、保険会社の保険商品を販売することで手数料を獲得するビジネスモデルです。
保険契約の締結や保険料の領収なども業務の1つで、保険商品に関する問い合わせにも対応します。
生命保険のみ、損害保険のみ、生保損保両方の保険商品を取り扱う保険代理店があります。
保険業界の市場規模と保険代理店の動向について
保険業界の市場規模は、生損保合わせて約40兆円前後を推移しています。国内の生命保険市場は毎年4,000億円程度が減収している一方で、保険代理店や銀行を経由した売上は年間4,000億円と成長中となっています。
保険業界の市場規模は大幅な縮小・拡大がないことから、安定した業界と言えるでしょう。
その一方で、保険代理店の休廃業・解散が2021年で最多を記録するなど、今後の動向を注視する必要があります(東京商工リサーチ調べ)。
保険代理店の転職先を選ぶときのポイント
保険代理店の転職先を選ぶ際に売上ランキングをチェックする方も多いのではないでしょうか。
しかし、売上高だけに注目していては、自身にとって理想の転職先を見つけることはできない可能性があります。
売上高が良い企業でもその企業体制が自身と合っていない場合、保険営業において自身のスキルを存分に発揮できず、営業成績が伸び悩みやすくなります。
その結果、自信を失ってますます営業成績が悪くなるという悪循環に陥る可能性もあります。
保険代理店の転職先を選ぶ際は、売上高だけではなく次のポイントも確認しましょう。
給与形態
保険代理店の給与形態は、「固定給」か「固定給+歩合制」です。
完全歩合制が認められるのは業務委託契約の場合のため、正社員や契約社員として転職する場合は完全歩合制の保険代理店は避けましょう。
歩合制を採用している保険代理店は、成果が給与に反映されるためやりがいを感じやすい可能性があります。
その一方で、成果が出ない場合は歩合分の給与が据え置きとなるため、収入が不安定に感じるでしょう。
安定を求めるのであれば「固定給」か「固定給の配分が多い固定給+歩合制」の保険代理店を検討してください。
社風
保険代理店の社風が自身に合わない場合、思うような営業活動ができない可能性があります。
例えば、顧客の幸せを第一に考えた保険営業を自身の信条としているのに対し、保険代理店の信条が自社の利益を第一に考えたものであれば、働きにくいと感じるでしょう。
また、自身の信念を曲げてまで働くことに意味を見出せず、早々に転職したくなる可能性もあります。
取り扱い保険の種類と数
取り扱い保険の種類と数も保険代理店を選ぶときのポイントの1つです。
生命保険と損害保険の中でも、養老保険や個人年金保険、自動車保険、火災保険などさまざまな種類があります。
自身が得意とする保険商品を取り扱う保険代理店を選ぶことも1つの考え方です。
また、取り扱う保険商品の数が多くなればなるほどに、顧客に合った保険を提案しやすくなります。
その一方で、覚えるべき保険商品の知識が多くなる点に注意が必要です。
安定性
前述したように保険代理店は廃業することも多いため、企業の安定性にも注目が必要です。
売上高が高いからといって、必ずしも経営が安定しているとは限りません。
例えば、多くの事業投資によって売上高が伸びたものの、営業利益はむしろ減少している場合があります。
これはビジネスの方向性や方法に問題があり、予想していた結果を得られなかったと考えられます。
売上高がそれほど高くなくとも、営業利益率が高い場合は経営が安定していると言えるでしょう。
まとめ
売上ランキング上位の企業は経営資源が豊富で取り扱う保険商品の数が多いだけではなく、複数の事業を展開している傾向があります。
保険代理店の転職先を探す際は、売上高だけではなく経営の安定性や働きやすさ、社風、取り扱う保険商品の種類と数なども確認が必要です。
今回、解説した内容を参考に、自身の条件を満たす理想的な保険代理店を見つけましょう。