保険業界は今後どうなる?動向や将来性を8つのトピックスから考察

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生命保険の加入率の高さや、国内における人口減少およびそれに伴う経済発展の将来不安などを背景に、保険業界の将来性に疑問視を抱くような印象があるかもしれませんが、社会の多様化するリスクに備えるために、保険業界は今後も発展の余地がある業界のひとつだと考えられます。

保険業界は、社会の安定的な成長や発展に貢献することを社会的責任としています。

そのため、保険ビジネスの発展と社会動向は密接な関係にあると言えるでしょう。

これから保険業界への転職を検討するにあたり、保険業界を取り巻く社会環境について、最低限知っておきたい情報と、それぞれに対する保険会社の関わり方について整理してみましょう。

山積する社会課題に対峙する、保険業界の現状

保険業界は、大きく分けると生命保険業界と損害保険業界に分類され、それぞれに法人向けと個人向けのビジネスがあります。

いずれにおいても、社会構造の変化や発展に伴って生じる多様なリスクに対し、それらをカバーする商品やサービスを企業や個人向けに提供することで、社会の安定的な成長や発展に貢献しています。

常に変化を繰り返す社会は、その都度課題やリスクも変化します。

そして、その変化に追随しながら成長を続けるのが保険業界ですから、社会に変化がある限り成長の可能性を秘めた業種であると言えるのではないでしょうか。

まずは、保険業界の現状トピックをご紹介します。

多様な、社会課題とリスクに向き合う新たな商品開発

社会は今、多様な課題やリスクに晒されています。

例えば、地球規模の課題として、温暖化の進行、生態系の危機、環境汚染、感染症の拡大、大規模地震などの多種多様な自然環境リスクが列挙されます。

他にも、テロの頻発、食糧危機 、人権侵害、貧困や格差拡大、移民問題、飢餓、コモディティ・ショックや債務危機などもあるでしょう。

また、日本における課題やリスクでは、高齢化問題、少子化の進展、地域産業の衰退、賃金格差など、社会の安定化のために解決すべき問題は山積しています。

保険会社は、これらひとつひとつに向き合って、企業や個人がそのリスクを少しでも低減させるための商品やサービスの開発を行っています。

AI技術の進化の恩恵を受け、より良い商品開発を行う

各種課題に向き合う商品を開発する上で、リスク分析は欠かせません。

保険商品の開発は、その商品が対象としている事象の発生確率を算出することで、成り立っています。

つまり、確率の精度が企業を支えていると言っても過言ではありません。

AI技術の進化はリスクの可視化や予見を可能にし、その進化は確率の精度を高め、保険業界のさらなる発展に大きく寄与するでしょう。

AI技術の進化は、多様な企業に恩恵を及ぼしますが、保険業界もそのひとつです。

AI技術の恩恵を大きく受ける保険業界内の職種は「アクチュアリー」です。

「アクチュアリー」という職種は、まだ見ぬ将来の不確実なリスク評価/分析を行う数理業務を担う仕事です。

昨今の山積する社会課題を前に、保険会社が新たな商品開発を行う機会が増える中において、アクチュアリーの存在はこれまで以上に重要になるでしょう。

加速する海外進出で、新たなビジネス

国内の人口減少や保険市場の成熟化を踏まえ、国内大手保険会社は、以前から海外事業の拡大を図っています。

中でもアジアや中南米、中東やアフリカなどの新興国は、日本国内に比べて保険の普及率が相対的に低く、各国の人口増も合わせて、今後も海外市場でのビジネスが活況となる可能性を大きく秘めています。

また、日本は世界の中でも高齢化社会が最も進んでおり、その対策や社会運営は世界の先駆者として注目されていますから、保険という分野においても高齢化社会に対応した商品は、今後、海外でのニーズに応えていくことになるでしょう

保険会社の展望に纏わる、8つの社会トピックス

社会の安定的な成長や発展に貢献するために、保険会社はさまざまな社会課題やリスクに対峙した商品開発をしています。

保険商品は、社会構造上の課題に対するリスクヘッジだけではなく、新たな発展を後押しするための商品も必要とされます。

大きく変容する時代に、保険会社がどのような役割を担っていくのか楽しみです。

今後、保険会社の展望に関わるであろう代表的な8つの社会課題とともに、これからの保険商品の展望を考えてみましょう。

1)超高齢化社会、人生100年時代への対応

各種保険会社は、国民生活の安定と向上に寄与することを重んじています。

生活環境の変化は多種多様ではありますが、中でも最も大きく迫り来る課題は、超高齢化社会の到来でしょう。

人生100年時代の到来によって、健康寿命の重要性が話題になりますが、それと共に生活費の確保や医療費の負担など、長生きがもたらす経済的なリスクに備える必要があります。

日本国の財政事情や少子化の煽りを受け、今後はますます自助努力によるリスク対策の重要性が高まるものと思われ、資産寿命の延伸のために、保険会社の役割はこれまで以上に大きくなってくるものと考えられます。

※)資産寿命…老後の生活を営んでいくにあたって、これまで形成してきた資産が尽きるまでの期間のこと

2)未知なる感染症への対策

2019年12月、中国武漢で原因不明の肺炎を伴う集団感染が確認されてから瞬く間に世界に広がった新型コロナウィルス(COVID19)。この未知なる感染症の発生によるパンデミックは、保険会社が商品を設計する上で大きな変化をもたらしました。

新たな感染症が発生するリスク要因は地球上に多様に存在しています。

企業の経済活動や、個人の健康リスクに向き合う保険会社の役割は益々重要性が高まることでしょう。

3)人口減少、出生率の改善への役割

日本の出生率は低下の一方で、少子化に歯止めがかかりません。

人口の減少は、国の運営に大きな影響をもたらすため、少子化対策は非常に重要な課題で、出生率を改善させるための策は急務でしょう。

しかし、若年世代の将来不安、とりわけ経済的な不安は大きく、出生率の改善のためには大きな弊害となっています。

若い世代が抱く各種不安の解消のために、保険商品でどのようなリスクヘッジができるのか。その役割に大きな期待がかかっています。

4)自然災害への対策

企業や個人が、予期せぬ出来事の被害を最小限に抑えるために、保険会社に何ができるのでしょうか。

日本における地震災害だけではなく、温暖化がもたらす世界規模での自然災害リスクが次々と現実のものとなっています。

異常気象によるゲリラ豪雨の頻発や、台風による損害、停電や断水などの社会インフラの停止などは、各被災地の企業や個人への影響に止まらず、海外生産への移行やサプライチェーンのグローバル化により、複雑に絡み合った企業網全体の混乱と連鎖を引き起こし、世界経済に大きな影響を与えます。

今後も、気候変動による各種影響はより一層大きくなることが安易に予測され、それに伴う社会活動への影響を軽減するためのリスクヘッジとして、保険商品へのニーズは高まっていることでしょう。

5)地政学リスクへ対応

ロシアによるウクライナ軍事侵攻をきっかけに、グローバリゼーションの弱点が浮き彫りになる形で、社会生活における地政学リスクが顕在化しました。

エネルギーや食糧価格などの上昇によって、世界的なインフレを起こし、その余波は日本の個人へも大きく影響することとなりました。

多くの人が生活の防衛のために、リスクヘッジの必要性を感じたことでしょう。

地政学リスクの側面から見ても、新たな時代に突入したと認めざるを得ない現状において、保険会社の役割の重要性は増す一方です。

6)サイバーリスクへの対応

サイバーリスクは、企業や個人の社会活動における新たなリスク要因です。

経済的な損失だけではなく、個人情報の漏えいや生活の安全面にまでリスクの幅は大変広く、保険会社にとっては新たなチャレンジとなっています。

7)自動運転や空飛ぶ車の実用化への対応

自動運転や5年10年先には空飛ぶ車の実用化など、損害保険の対象である車社会が大きく変わっていこうとしています。

自動車保険のようにすでに存在している商品でもその対象が発展するに伴い、個々の新たなリスクに応じて保険商品や付随するサービスも変化していきます。

8)宇宙ビジネスの発展への貢献

宇宙ビジネスの発展は目まぐるしく、各ステークホルダーの開発には保険が欠かせません。

保険商品が提供されることで企業が安心して宇宙産業を推進することが可能になることから、宇宙ビジネスに関わる企業を支え、産業の発展のためにも保険会社の役割は重要です。

中でも、月面ビジネスはすでに具体化しており、ロケットの打ち上げから月面への着陸、そして月面での調査や事故の法的な責任など含め、各種ステークホルダーが安心して事業開発及び参画するために、全てのリスクポイントでリスクを回避する補償が必要です。

健全なビジネスの活性化のためにも、新たなリスクに対する保険ソリューションの提供は損害保険業界にとって、ホットな話題でしょう。

まとめ

保険業界の将来性を考えるにあたり、世の中の課題やリスクからその展望を紐解いてみました。

保険業界の社会での役割を理解していくと、企業や個人が多様化するリスクに備えるために、世の中の課題に常に向き合い、社会の安定的な成長のために欠かせない存在であることがわかります。

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