保険の法人営業は、個人営業との違いを理解したうえでコツを押さえる必要があります。
誰のための保険なのか、何を訴求すると興味をひけるのかなど、さまざまな違いを踏まえて適切に営業をかけましょう。
本記事では、保険の法人営業のコツや個人営業との違い、各種ポイントなどについて詳しく解説します。
目次
保険の個人営業と法人営業の違い
保険の個人営業と法人営業では、対象者や判断する人、アポの取りやすさなどが異なります。それぞれの違いについて詳しくみていきましょう。
対象者
個人の場合は、保険の対象者は世帯主および同居家族、またそれらの人に関わる物や建物などが対象です。
場合によっては親族にまで範囲が広がるでしょう。
一方、法人の場合は家族、というくくりではなく社長と役員、従業員、またその法人に関わる機械や建物などが対象です。
社長が保険に加入するメリットを提示するだけでは、すでに加入している個人用の保険との差を理解できないため、なかなか契約には至りません。
役員や従業員にどのような恩恵がもたらされるのかを伝える必要があります。
社長など決裁者にアプローチするのが効果的
個人の場合は家族に相談して加入の可否を決めることが一般的ですが、法人では社長の独断となることが多いです。
そのため、社長など決裁権を持っている人を見極めアプローチするのが効果的です。
(もちろん、信頼できる役員などに相談する可能性はありますし、また企業規模が大きい場合は総務部、人事労務部、財務部などが判断し決済を社長が行うケースもあります。)
社長が独断で決定している企業の場合は社長一人にアプローチすれば、さまざまな周りの意見によって保険の加入を見送ることになるリスクがは少なくなりますが、社長に十分な納得感を与えなければ契約には至らない点に注意が必要です。
アポの取りやすさ
個人は平日に仕事をしている人が多いため、土日にアポを取りやすい傾向があります。
一方、社長は平日の会社にいる時間にアポを取りやすいでしょう。
これは、会社のことは会社で、社長個人のことは自宅にいるときに対応するとの考え方があるためです。
保障内容/補償内容
個人保険と法人保険は、その種類や保障内容/補償内容が異なります。
法人保険には、社長個人だけではなく役員や従業員の死亡保障や退職金準備を目的とした保険もあります。
保険を手厚くしすぎるとランニングコストが高くなるため、保険の種類だけではなく保険料と保障/補償のバランスまで考慮して提案しなければなりません。
保険の法人営業のコツ
個人営業と同じ方法で法人営業を行っても、契約には至りません。
保険の法人営業では次のコツを押さえましょう。
アポを取るときは経営課題への提案であることを伝える
アポを取るときは、保険の営業ではなく経営課題への提案であることを伝えましょう。
保険商品が企業の抱える課題やリスクをどのように解決するのか、目標や戦略にどのような影響を与えるのかを説明します。
保険の営業であることを伝えた時点で電話を切る社長は少なくありませんが、経営課題への提案であると伝えれば話を聞いてもらえることが多いでしょう。
保険は実際に経営課題を解決するものであるため、嘘をついたと思われて印象が悪くなる心配もありません。
まずは仮説を投げかける
法人営業のコツは、保険が経営課題の解決につながる事実に気づいてもらうことです。
そのためには、社長自らが経営課題を認識しなければなりません。
しかし、社長自身も経営課題を理解していないために、保険提案のステップに進めない場合があります。
まずは、経営課題を尋ねるのではなく、「このような課題を抱えていませんか?」という形で仮説を投げかけましょう。
少なくとも、「はい・いいえ」のいずれかの返答があります。そこから話を広げていって経営課題を明確化し、適切な保険を提案します。
従業員が対象であることを伝える
保険と言えば、社長個人の保険をイメージすることが多いため、従業員が対象の保険があることも伝えましょう。
従業員の保険が手厚い会社はエンゲージメントが高くなり、離職率が低くなったり生産性が高くなったりする可能性があります。
結果的に企業の利益につながることまで十分に伝えて、従業員向け保険のメリットを理解してもらうことがポイントです。
具体例を伝える
従業員向け保険を導入したことで企業の利益や経営の安定性、離職率などがどのように変化するのかがわかる事例を伝えます。
そうすれば納得感が高まり、契約に至る可能性が上がるでしょう。
また、自社の保険を契約している法人にインタビューを行い、企業事例として共有するのも1つの方法です。
そのほか、従業員数や経営課題に応じて、どのような保険が適しているのかがわかる早見表を用意すると理解を促すことができます。
保険の法人営業に求められるスキル
個人・法人を問わず、保険営業にはコミュニケーション能力とヒアリング力、コンサルティング力が必須です。
各スキルの中でも、どのような能力が法人営業に求められるのかについて詳しく紹介します。
この人なら契約したいと思ってもらう「コミュニケーション能力」
法人営業は個人営業と比べて契約金額が高いため、この人なら契約したいと思ってもらうためのコミュニケーションがより重要となります。
笑顔で明るくハキハキと話すだけではなく、社長の意見や悩みに耳を傾けて、親身に相談に応じることが求められます。
ニーズを掘り下げて課題を抽出する「ヒアリング力」
個人保険では家庭状況や将来設計などをヒアリングしますが、法人営業では経営課題や目標などをヒアリングします。
家庭状況や将来設計などは、ターゲットに質問することで回答得られますが、経営課題や目標については漠然とした答えしか返ってこない場合があります。
法人営業では、それだけ優れたヒアリング力が求められるでしょう。
業界について詳しく調査し、仮説を立てて質問を投げかけることで、課題が見えてくる場合があります。
会社に合った保険商品を提案する「コンサルティング力」
会社の経営課題に適した保険商品を提案するためのコンサルティング力も必要です。
例えば従業員の離職率が高いことがわかった場合、保険だけではなく全体的な福利厚生の整備が必要な可能性があります。
また、保険と他の福利厚生とのバランスまで考慮し、適切な保険を提案しなければなりません。
従業員向け保険には、総合福祉団体定期保険や養老保険、病気やケガの際に見舞金や賃金補償に活用できる医療保険などがあります。
保険の種類はもちろん、保険料と補償のバランスまで考慮して、適切なアドバイスを心がけることが大切です。
まとめ
保険の法人営業では、社長との信頼関係を築きつつ経営課題を明確化し、課題解決につながる保険を提案する必要があります。
また、保険料と保障/補償のバランスまで踏まえ、会社の利益につながるようにコンサルティングすることも重要です。
法人営業では、社長が独断で保険商品を決めることが多いため、周りの人物の意見によって契約の可否が左右されるケースは稀です。
今回、解説した法人営業と個人営業の違いや保険提案のコツを参考に、法人営業を成功させましょう。