近年、将来不安への高まりを背景に、保険商品へのニーズも多様化し、個人向けの保険事業が躍進しています。
就職先のひとつとして、保険営業に興味を持っている人も多いのではないでしょうか?
一方で、「保険の営業はきついのではないか」と漠然とした不安を抱いている人も多いようです。
まずは、保険の営業について簡単に確認しつつ、個人向けの保険営業がきついと言われる理由や現状について紹介します。
今後の転職活動の参考にしてみてください。
保険の営業とは?生保、損保、代理店によって違うの?
保険は大きく分けると3つの種類に分けられます。
①人の生存や死亡に関して保険金を支払う「第1分野の保険」
②交通事故、火災、地震、盗難などで生じた損害を補償する「第2分野の保険」
③医療や介護、がんなどに対して保険金を支払う「第3分野の保険」
このうち①③を「生命保険」、②が「損害保険」です。
生命保険は生命保険会社が、損害保険は損害保険会社が運営しており、それぞれ営業職が担う役割も違いがあります。
まずは、各保険会社とそれぞれの営業職の種類について簡単に確認しておきましょう。
生命保険会社とは
人の生存や死亡に関して保険金を支払う「第1分野の保険」と、医療保険や介護保険、がん保険など「第3分野の保険」の保険商品を作り、運営し、万が一の場合には契約内容に応じて支払うのが、生命保険会社です。
生命保険会社の営業部隊は、企業を相手に特殊な保険商品を販売する法人営業部門と、一般の消費者の方へ向けて自社の保険商品を販売する個人営業部門があります。
これまで長い間、一般消費者へ生命保険の販売は生命保険会社が一手に担ってきましたが、法改正を機に、自社の生命保険商品の販売を提携する代理店に委託するようになりました。
損害保険会社とは
自動車保険や火災保険など、交通事故・火災・地震・盗難などで生じた損害を補償する「第2分野の保険」の保険商品を作り、運営し、万が一の場合には契約内容に応じて支払うのが、損害保険会社です。
生命保険会社同様、法人部門と個人部門がありますが、生命保険会社とは異なり、損害保険の商品特性から、自動車保険は自動車販売会社と、火災や地震などは住宅ローンを販売する銀行などと提携して販売しています。
そのため、損害保険会社の保険営業とは、それらの提携先の販路を広げたり、提携先の販売サポートを行うのが主な業務です。
保険代理店とは
生命保険会社及び損害保険会社と契約をして、保険商品の販売を行う企業です。販売に特化しているため、保険商品を作ったり、万が一の際に保険内容に応じて支払いをするということはありません。
近年脚光を浴びている保険代理店は、複数の保険会社と提携することで、数多くの保険商品をラインナップし、一般消費者の方が比較検討できる体制を構築しています。
個人向けの保険営業がきついと言われる、理由
これから転職先として保険営業を検討している人の中には、個人向けに保険商品を販売する職種を検討されている方もいるかと思います。
中には、漠然と個人向けの保険営業はきついという印象を持っていて、最初の一歩が踏み出せない人もいるかもしれません。
そこで、保険営業がきついと言われている理由と、近年の変化について紹介します。
新規開拓がきつい、飛び込みやテレアポに苦労しそう
これまで長い間、保険営業は、家族や友人などに保険の契約をお願いしたり、別の友人を紹介してもらうなど、新規開拓の大変さにまつわるエピソードが事欠きませんでした。
昨今では個人向けの保険販売市場に、新規参入する企業が増えたことから、働き方も随分と変わり、WEBサイト等のデジタルツールを用いた新規開拓が主流化しています。
所属する企業によって違いはありますが、保険営業=飛び込みやテレアポでの新規開拓というロジックは以前よりも薄れ、保険の説明を必要とする人が自らWEBなどを通じてアポイントを取り、それに対して保険営業が店舗やお客さまの自宅で説明を施すといったパターンが主流になりつつあります。
しかしながら、まだまだ古くから続く営業スタイルを保持している企業もあるため、転職活動をする際には、リサーチの段階でしっかり確認しておくことが必要でしょう。
ノルマがきつい、友人や家族を巻き込むのは嫌
これまで長きに渡って保険業界では、契約件数や金額などのノルマが問題視されてきました。
ノルマが達成できないと月々の収入にダイレクトに影響する雇用スタイルが多かったため、友人や家族に契約をお願いするようなことも散見されました。
しかしノルマの有無は、所属している企業の事業スタイルや、それに伴う雇用や収入形態によって違いがあります。
近年、保険を営業する企業の事業スタイルは多様化しており、雇用や収入形態もさまざまです。
例えば、ノルマはあるけれどもその分、成果報酬が高い企業もあれば、反対にノルマはないけれども一般的な収入で成果報酬は少ないという企業もあります。
就職先をリサーチする際には、企業の事業スタイルと共に、収入と営業成果の関係性についてもしっかり確認して、ノルマへの不安が払拭できる企業を選ぶといいでしょう。
成果報酬がきつい、収入が不安定になりそう
これまで長い間、保険営業は実績に応じて収入に大きな差が出る雇用スタイルが主流でした。
そのため、大きな実績を伴った人は、高額の収入を得ることができるため、夢のある働き方として人気を博したことも。
一方で、実績が乏しかった場合は収入も下がり、生活が不安定になるため、離職する人が多かったのも事実です。
現在では、保険営業の雇用スタイルの多様化が進んでいます。成果と収入の関係は所属する企業によって様々です。
夢のある高収入を望み、成果と収入がダイレクトな収入形態の企業もあれば、収入の安定性を重んじる収入形態を取っている企業もあります。
自分の働き方や収入に対する考え方をしっかり描きながら、自分にあった収入形態を取っている企業を探すことで、収入への不安は払拭できると思います。
経費の自己負担がきつい、どのくらい負担を強いられるのか不安
新しい契約を獲得するための営業のための各種ノベルティや、交通費、通信機器などの営業ツールに至るまで、保険営業は経費が自己負担となり、きついと言われています。
これは、企業が採用している収入形態によって異なり、経費の一切を企業側が負担する場合もありますので、就職先をリサーチするときに確認するといいでしょう。
市場環境がきつい、今後の業界動向が気になる
日本人の保険加入率は大変高く、保険市場は飽和状態と言われてきました。
以前は、死亡に伴う保険が圧倒的で、確かにその供給は十分に行き渡っていたでしょう。
しかし、家族構成や労働環境の変化、そして天災リスクなど、人々が抱く人生への不安は多岐に渡るようになり、保険商品に対するニーズの多様化が進んだことで、新たな保険商品が生まれ、市場は活性化しているように見受けられます。
一方で、市場の活性化を背景に、多くの企業が保険販売に参入しており、企業間競争が激しくなっていることから、就職先を検討する際には、企業の将来性を踏まえ十分に比較検討する必要があるでしょう。
保険営業に向いている人
これまで長く、保険営業がきついと言われ続けてきましたが、昨今の労働環境の変化に伴い、働く環境は随分変化しています。
今後、ますます成長が期待される保険ビジネスですが、そのステージで、どのような人が保険営業として活躍できるのでしょうか?
自身のパーソナルスキルにあわせて、転職活動の参考にしてみてください。
はじめて会う人とも気楽に話せる人
保険営業の仕事の大半は、はじめて会う人との対話です。
そのため、初対面でも会話を楽しめる人が向いています。
分かりづらいことを、分かりやすく噛み砕いて説明できる人
保険商品は、目に見えず、触れることができない商材の上、普段聞き慣れない専門用語や難しい漢字の羅列などもあり、説明を聞いていても、その商品価値よりも難解さが勝ってしまいがちです。
そのため、保険営業の担い手は、分かりづらいことを少しでも分かりやすく説明できる能力が必要です。
人の人生に寄り添える人
特に生命保険は、人の人生や暮らしをサポートする商品です。
そのため、商品の紹介だけではなく、相手の生き方に対する考え方を踏まえた提案を要します。
人の人生を興味深く聞いてしっかりと寄り添うことができる能力は保険営業の担い手としての資質のひとつでしょう。
収入に前向きな人
企業の収入形態によって異なりますが、実績に応じた収入を得られるチャンスがあるのも、保険営業の魅力の一つです。
フルコミッションという実績が収入にダイレクトに結びついている給与形態もあれば、給与の一部が成果報酬として加算されるパターンもあります。
いずれにしても、実績が収入に反映されやすい給与システムが多い業界のため、収入に前向きな人にはとても魅力的な働き方のひとつでしょう。
働き方や労働時間に柔軟性が欲しい人
保険を販売する企業は、働き方の多様性を重んじている企業が多いのも特徴です。
もちろん、企業によって就業形態は異なるため、事前の確認は必須ですが、自分の望む働き方にあった企業を探すことが比較的できやすい業界だと思います。
まとめ
保険代理店の台頭と共に新しい企業が続々と参入したことで、保険営業がきつい、というイメージの元となった形態(新規開拓やノルマ、報酬制度など)は昔と比べて随分と変化しています。
同時に、雇用や収入形態も多様化しているため、就業に伴う各種不安が解消できる企業をリサーチするのも大変かもしれません。
私たちHonesty(オネスティ)は、金融・保険を専門としている「特化型」転職エージェントです。
これまで多くの金融業界出身者の方々のお話をお聞きした経験や、業界情報を元に、一人ひとりの事情や特性が活かせる乗合代理店を選ぶサポートをいたします。
新しい活躍の場を求める際には、ぜひ活用ください。