保険業界への転職を検討する際は、基礎知識を習得することが重要です。
保険業界のビジネスモデルはもちろん、生命保険や損害保険などの種類や職種について理解してこそ、自身の転職についてイメージしやすくなるでしょう。
この記事では、保険業界の種類やビジネスモデル、職種について詳しく解説します。
目次
保険業界とは
保険業とは、病気や怪我、交通事故、車の破損、盗難などのトラブルに備えたい人から保険料の払い込みを受け、補償対象となる事案が起きた際に保険金を支払うサービスを提供する事業です。
保険業界には、生命保険会社や損害保険会社、保険代理店などがあり、役割やビジネスモデルなどが異なります。
保険業界の種類
保険業界は生命保険会社と損害保険会社、そしてこれらの会社の保険商品を代理で販売する保険代理店に分類されます。
保険業界の種類について詳しくみていきましょう。
保険代理店
保険代理店の業務は、保険会社が取り扱う保険商品を代理で販売することです。
保険の変更や解約、保険金の支給手続きなども担当することが一般的ですが、保険会社と保険代理店で締結する業務委託契約の内容によって異なります。
また、相談者のライフプランや現状などを踏まえ、最適な保険を紹介することも業務の1つです。
生命保険会社
生命保険会社の業務は、契約者から保険料の払い込みを受け、契約内容で定めた事案が起きた際に保険金を支払う「保険業務」と、保険料を運用して会社の資産を増やし、財源を確保する「資産運用」に分類されます。
取り扱う保険商品は終身保険や個人年金保険、養老保険などで、これらは「第一分野」と呼ばれます。
損害保険会社
損害保険会社も生命保険と同じく、保険料の払い込みを受けて、契約内容で定めた事案が起きた際に保険金を支払う「保険業務」と、保険料を運用して保険金や運営資金を確保する「資産運用」に分類されます。
生命保険との違いは、取り扱い商品が事故や災害に備えた「第二分野」の保険商品である点です。
事故や災害が発生した際に、契約内容で定めた事案に該当するかどうかや損害の査定を行い、保険金の支払い手続きをします。
なお、「第三分野」の医療保険やがん保険などは、生命保険会社と損害保険会社の双方が取り扱うことができます。
保険業界のビジネスモデル
保険業界のビジネスモデルは、保険代理店、生命保険、損害保険で異なります。それぞれ詳しくみていきましょう。
保険代理店のビジネスモデル
保険代理店の収益源は、生命保険会社や損害保険会社から支払われる手数料です。
保険の契約が成立すると、保険会社から保険代理店へあらかじめ決めておいた手数料が支払われます。
保険契約が成立した際に、払込保険料以外の費用をお客さまから受け取ることは通常ありません。
手数料率の相場は生命保険会社が5~7%程度、損害保険会社が15~20%程度といわれていますが、会社によって異なります。
生命保険のビジネスモデル
生命保険会社の収益源は、契約者から払い込まれる保険料です。
保険商品を購入することで保険料が払い込まれるため、直接販売や間接販売、ネット販売などさまざまな方法で効率的に契約者を増やすことが求められます。
また、保険料を元手に資産運用を行い、その利益を会社の収益とすることで、保険金の財源を確保します。
このように、生命保険は多くの保険料を運用して資産を増やす「機関投資家」とも言えるのです。
損害保険のビジネスモデル
損害保険会社は、あらかじめ補償対象や範囲を指定し、年単位で損害を補償します。
損害が起きた場合は保険金の支払いが必要ですが、起きなかったときは支払いは不要です。
そのため、払込保険料よりも支払う保険金が少なくなれば、損害保険会社の利益になります。
生命保険会社は一定期間まで保険金の支払いが発生しなかったり一定の年齢に達したりした場合に、払込保険料の一部を返金する場合があります。
一方、損害保険会社の保険は掛け捨てが基本のため、払い込まれた保険料を運用する必要性はそれほど高くありません。
保険業界の職種
保険業界にはさまざまな職種があるため、それぞれの特徴を理解したうえで自身に適した職種を見極めることが大切です。
保険業界の職種について詳しくみていきましょう。
保険営業
保険営業には個人営業と法人営業があります。
個人よりも法人の方が単価が高く、契約締結までに時間がかかることが多いでしょう。
いずれの場合も、顧客のライフプランを踏まえて最適な保険商品を提案・販売するのが仕事です。
保険商品の知識や募集に関する法律、営業ノウハウなどを習得し、多数の契約を取ることを目指します。
保険営業が未経験でも、何らかの製品やサービスを販売・営業した経験がある場合は優遇されることが多いでしょう。
事務
事務職は、契約書や関係書類の作成、営業担当者のサポート、契約後のアフターフォローなどを行います。
顧客の相談窓口のため、コミュニケーション能力やヒアリング能力などが必須です。
さらに、保険の専門知識や法律などの理解も欠かせないなど、一般的な事務職のイメージとは異なる点が多いでしょう。
しかしながら、いずれの知識も転職後に習得できるため、未経験でも転職は可能です。
企画開発
企画開発は、ライフスタイルの変化やトレンド、世の中の需要などを踏まえて、新たな保険商品を開発する職種です。
競合他社の新しい保険商品はもとより、社会情勢についても常に把握しておく必要があるため、情報収集能力や先を見通す能力が求められます。
このような能力は他業界の企画開発でも重宝されます。
コールセンター
コールセンターは、病気や怪我、事故など保険金の支払条件を満たす事案が起きた際に、状況を確認したうえで保険金の支払い手続きを行います。
また、保険によってはレッカー車の手配や医療機関の紹介・連携などの業務も発生します。
そのほか、契約期間が満期となった顧客に電話をかけて、保険の見直しを提案するのもコールセンターの仕事です。
示談交渉
示談交渉は、主に自動車保険において発生します。
相手方もしくは相手方の保険会社の担当者と責任の割合や賠償金額などを取り決めます。
交渉には知識や経験、コミュニケーション能力などが必要なため、保険営業とは別の人物が担当することが一般的です。
資産運用
資産運用は、保険料を運用して保険金や会社の運転資金などの財源を確保する業務です。
有価証券や不動産、法人など、さまざまな対象に投資し、長期的な視点で安定的に運用する必要があります。
マーケティング
保険業界におけるマーケティングは、保険商品の知名度アップを目的に広告を作成・運用したり、オウンドメディアに記事を投稿したりする職種です。
外部に委託するケースと自社にマーケティング部を設置して内製で行うケースがあります。
コンテンツ作成による集客を目指す場合は、保険業界や保険商品への深い知識やセールスライティングのスキルが求められます。
まとめ
保険業界には保険代理店や生命保険会社、損害保険会社があり、それぞれ取り扱う保険商品や資産運用の必要性などが異なります。
また、保険営業や事務、コールセンター、示談交渉、資産運用などさまざまな職種があり、他の業界とは異なるスキルや経験が求められます。
いずれも経験者が優遇されるものの未経験者も募集していることが多いため、転職しやすい業界と言えるでしょう。