保険業界に「生保レディ」と呼ばれ働く人がいます。
主に生命保険会社の営業職として保険商品の販売をする女性のことで、「保険のセールスレディ」と呼ばれる場合もあります。
生保レディはノルマが厳しい、ノルマを達成しなければ給与が低くなってしまう、などの噂を聞いたことがある人もいるかもしれません。
結論、保険営業である生保レディの給与は「歩合給」、つまり個人の成績によって左右されてしまうのですが、少しでもイメージの参考になるように生保レディの給与相場について、経験者でもある筆者がデータを用いながら説明しています。
※当記事では生保レディ=保険会社女性営業職として、保険業界にまつわる給与データや保険会社の営業職の給与のデータを見ていくことで生保レディの給与相場について紹介していきます。
生保レディの給与相場を知りたい方はぜひご覧ください。
目次
生保レディの給与の相場は?
生保レディの給与相場を確認していくにあたり、まずは、保険業界全体の給与水準を探ってみましょう。
保険業界の平均賃金は全業界の平均賃金より高い?
令和3年度の厚生労働省のデータによると、金融業界・保険業界の平均賃金は全業界の平均賃金よりも高いことが分かります。
全世代の平均賃金が307.4千円/月に対し、金融業界・保険業界の平均賃金は383.5千円/月。
全体の平均賃金と金融業界・保険業界の平均賃金を年齢別、また男女別に見ると、以下の通りになります。
全業界の平均賃金 (千円) | 金融・保険業界の平均賃金 (千円) | ◆男性 金融・保険業界の平均賃金 (千円) | ◆女性 金融・保険業界の平均賃金 (千円) | |
20~24歳 | 213.1 | 223.5 | 231.5 | 218.7 |
25~29歳 | 246.2 | 268.5 | 298.1 | 246.9 |
30~34歳 | 275.8 | 331.6 | 395.2 | 274.2 |
35~39歳 | 305.0 | 395.6 | 499.6 | 293.4 |
40~44歳 | 328.0 | 413.1 | 570.4 | 319.6 |
45~49歳 | 344.3 | 460.5 | 608.8 | 319.7 |
50~54歳 | 366.2 | 484.3 | 622.5 | 334.5 |
参考:賃金構造基本統計調査
表をご覧の通り、どの年代でも金融業界・保険業界の平均賃金のほうが高くなっています。
しかし男女別に見ると金融業界・保険業界の女性の平均賃金は全業界の平均賃金より若干低い水準にあります。
上記は金融業界のデータも含まれており、また営業以外の職種(事務・開発・管理職など)の賃金も含まれた結果になります。
上記だけでは生保レディの給与相場が見えてこないため、政府統計ポータルサイトのデータも参考にしてみましょう。
政府統計ポータルサイトの2019年のデータによると、保険営業のことを指す保険外交員(女性)の「決まって支給する現金給与額」は平均269,725円/月であることが分かります。
決まって支給する現金給与額 【千円】 | 年間賞与その他特別給与額 【千円】 | |
10人以上 | 272.1 | 499.4 |
1,000人以上 | 272.4 | 493.7 |
100~999人 | 262.4 | 657 |
10~99人 | 272 | 564.4 |
平均 | 269.725 | 553.625 |
参考:政府統計の総合窓口
「年間賞与その他特別給与額」、いわゆるボーナスは平均553,625円です。
賞与を含めた年間ベースの収入にすると、おおよその数字で379万円。これは、先ほど見た全業界の平均賃金が307.4万円/年と比べて、高いことが伺えるのではないでしょうか。
※政府統計ポータルサイトを参考に算出した年間ベースの収入、また平均賃金はどちらも税金控除を加味していない数字なのでその点ご注意ください。
注)厚生労働省サイトより引用
“決まって支給する現金給与額”
労働契約、労働協約あるいは事業所の就業規則などによってあらかじめ定められている支給条件、算定方法によって6月分として支給された現金給与額をいう。
“年間賞与その他特別給与額”
調査実施年の前年1年間(原則として1月から12月までの1年間)における賞与、期末手当等特別給与額(いわゆるボーナス)をいう。
生保レディの給与を考える際の注意点
生保レディの給与は比較的高いことが伺えますが、注意すべき点があります。
ここからは、給与を考える際の注意点を解説しますので、ぜひ参考にしてください。
インセンティブと基本給のバランスを確認する必要がある
国内生命保険会社の営業職と外資系生命保険会社の営業職を比較すると、外資系生命保険会社の営業職の方が平均年収が高いことが多いです。
ただし、外資系生命保険会社の営業職は基本給が少なく、インセンティブの割合が大きいという特徴があります。
そのため、外資系生命保険会社の営業職は営業成績が良い月の給与は高くなりますが、契約をいただけなかった月の給与は低くなります。
一方、国内生命保険会社の営業職はインセンティブの割合は少ないものの、固定給の割合が大きい傾向があります。
このようにインセンティブと基本給のバランスは会社によってばらつきがあるため、注意が必要です。
毎月決まった給与を安定的にもらいたいという方は、国内生命保険会社が向いているでしょう。
経費が自己負担になる場合手取りは少なくなる
生命保険会社によっては、保険営業をする中で発生する経費を自己負担しなければならない場合があります。
経費の自己負担が大きかった月は、手取りの金額が少なくなるため注意が必要です。
保険営業にかかる経費は、商談の際の飲み物代、お客様の自宅で商談をする際のお土産代など様々ですが、営業をすればするほど経費がかさむのは間違いありません。
そのため、生命保険会社への転職を考えている方は、経費の取扱いについて確認しておきましょう。
契約から間もなく解約されるとペナルティを課されることがある
生命保険会社では、保険に契約期間のようなものを設定している場合があり、例えば、保険の契約をいただいてから2年以内に解約されてしまうと、解約された分の成績がマイナスされてしまうということがあります。
マイナスされた後の成績が一定の基準を満たしていない場合、給与からその成績分の金額を差し引かれるということもあります。
その結果、「思ったよりも給与が少ない」ということになりかねません。
保険会社によって解約にかかるペナルティの仕組みは異なるため、事前に確認しておくことが重要です。
生保レディとして給与を上げるためのポイント
生保レディの給与は、成績によって大きく変わります。
そこで、ここからは生保レディとして給与を上げるためのポイントを解説します。
【給与をあげるためのポイント①】1人でも多くの人に会う努力をする
保険営業は、1件でも多くの契約をいただくことが給与アップの秘訣です。
そのためには、1人でも多くの方に提案する必要があります。
多くのお客様に出会うためにできることは、契約をいただいた方から友人やご家族を紹介してもらったり、新規開拓したりと、地道な努力をすることです。
ときにはお断りされてしまうこともありますが、それでも日々努力を続けることが、給与を上げるために非常に重要です。
【給与をあげるためのポイント②】納得してもらえる提案をする
保険営業をしている中で、成績が欲しいがあまり、必要以上に勧誘や提案をしてしまうことがあります。
しかし、それはお客様に対し非常に失礼な行為であり、お客様にも「営業成績が欲しいだけ」という本心がばれてしまうことは少なくありません。
そのため、遠回りでも丁寧なヒアリングを重ね、お客様が本当に必要としている保険を提案することが重要です。
お客様に納得していただくことができたら、ご家族や友人をご紹介いただけることがあります。
このように、保険営業では一見遠回りでも地道に継続することが求められます。
【給与をあげるためのポイント③】アフターフォローを欠かさず行う
保険営業は、お客様に保険を契約いただいて終わりではありません。
契約をいただいてからが本当のスタートです。
なぜなら、ライフステージの段階が変わるごとに、そのお客様にとって必要な保険は変わるからです。
そのため、お客様にはこまめに連絡をとり、変わったことはないか、想定と異なったライフステージを迎えていないかを確認します。
定期的にアフターフォローをする中で、新たに加入が必要な保険がある場合は提案し、ご契約いただきます。
このように、一度保険の契約をいただいた方も見込みのお客様になるため、アフターフォローはかかさずに行いましょう。
まとめ
生保レディの給与は、平均年収よりも高いことが伺えることが分かりました。
一方で、実際の給与は営業成績によって左右されてるので注意が必要です。
契約をいただけた分給与が上がるため日々の営業活動に注力し、1件でも多くの契約をいただく努力をすることが重要です。
インセンティブや経費に対する制度は会社ごとによっても変わってくるため、もし転職を考えている場合、保険業界に詳しいエージェントを味方につけながら、転職活動を行うことをおすすめします。