1社専属代理店での保険営業とは?メリット・デメリットも

2023.1.16

1社専属代理店での保険営業とは?メリット・デメリットも

かつて保険の営業職といえば、保険会社に所属し、その保険会社の商品の販売をする仕事でした。 
その後、消費者の保険契約に伴う動向が大きく変化し、代理店から保険に加入することが主流となり、保険営業の働き方や役割も随分変化してきました。

保険代理店とは、保険会社から代理で保険商品を販売する権利を有している企業です。
その販売契約を結ぶ保険会社が1社の場合と、複数社の場合では、その場で働く保険営業の仕事内容も違いがあります。

そこで、まずは保険代理店の種類について確認してみましょう。

1社専属代理店と乗合代理店の違い

現在、保険契約の主流となっている代理店ですが、保険の代理店には「1社専属代理店」と「乗合代理店」の2種類があります。
「1社専属代理店」とは、保険会社1社とのみ代理店契約を結び、その保険会社の商品のみを販売する保険代理店です。

一方で、「乗合代理店」とは、複数の保険会社と代理店契約を結び、幅広い商品を取り扱っています。

ちなみに、かつて主流だった保険会社の営業職員も、その保険会社の商品しか販売できないため、1社専属と言われています。

「1社専属代理店」と「乗合代理店」の大きな違いは、“取り扱い商品の種類”です。
同じ保険商品を販売する営業職とはいえ、取り扱う商品の種類が違うことはメリットもデメリットもあり、働き方も異なります。

そこで、ここでは取り扱い商品の違いに着眼し「1社専属代理店」で働くメリットとデメリットを「乗合代理店」との違いを踏まえながら紹介いたします。

1社専属代理店で保険営業を行うメリット

保険会社1社のみと代理店契約を結び、その保険会社の商品のみを販売するのが「1社専属代理店」です。

そのため「乗合代理店」に比べて「1社専属代理店」は、取り扱い商品が限定されていますが、保険営業を行う上で不利に働くことばかりではありません。
取り扱い商品の過多による弊害もあります。 取り扱い商品の過多による弊害

商品の深いところまで理解し、安心して営業することができる

保険商品は、人生や命に向き合ったり、有事に備える特殊な商品のため、大変複雑な仕組みを伴っています。
保険営業の担い手は、保険商品の内容だけではなく、事務手続きや、契約後のサービスなど、お客さまに説明することは多岐に渡ります。
そのため1つの保険商品を理解しお客さまへ正確に説明するだけでも、一苦労です。

「1社専属代理店」は、保険会社1社の商品のみを販売します。
そのため、インプットの量が限られ、商品の内容、事務手続き、有事の対応などあらゆることを深く理解することができ、お客さまへ安心して商品の説明を行うことができます。

一方で「乗合代理店」は、複数の保険会社の商品を取り扱い、その数は30にも40にもなることもあります。
それだけの種類の保険商品の情報を間違いなく把握するのは至難の業ですし、申し込みを受けた後の告知や診査に関する引き受けの目安も、各社で大きく異なるなど注意すべき事柄も多岐に渡ります。

「乗合代理店」は、複数の商品を取り扱うことによって、お客さまへの提案内容が幅広くなりますが、その分、理解すべき情報の範囲は広がり、情報の処理が追いつかないことも考えられます。
保険営業はその立場として、お客さまへ誤解を与えるようなことがあってはならないため、取扱商品が広がれば広がるほど、把握に時間と労力を必要とします。

また、金融商品は関連する法律が変更することが多く、それに伴い商品内容や細かな情報の変更が行われることが多くなります。
数多くの商品を取り扱うということは、情報の上書きも一苦労です。

「1社専属代理店」は、保険会社1社の商品のみを取り扱うため、お客さまへ紹介できる商品は限られていますが、その内容を深いところまで理解することができ、適切な営業が可能であることはメリットのひとつです。

また、情報の把握と管理に有する時間や労力を、営業行為に効率的に利用することもできます。
もちろん、「1社専属代理店」の営業として、取り扱い商品が限定されていることに伴うデメリットもあります。

1社専属代理店で保険営業を行うデメリット

  「1社専属代理店」は、1社の保険会社の商品しか取り扱えません。

そのためお客さまへの提案内容が狭まってしまうというデメリットもあります。 1社専属代理店で保険営業を行うデメリット

複数の商品を比較した提案営業ができない

保険商品は、終身保険、定期保険、養老保険のようなものに加え、介護保険、変額保険、外貨建保険、就業不能保険など多岐にわたっており、さまざまな保険会社が独自色を打ち出して保険商品を提供しています。

「乗合代理店」は、複数の保険会社の商品を取り扱うことができ、それぞれの保険会社が得意としている商品を選択して取り扱うことができます。
これにより、ニッチなニーズに対応する保険であってもベストな商品を提案することが可能ですし、時には複数の保険会社の商品を組み合わせて提案することもできます。

「1社専属代理店」が扱っている保険商品のすべてが、業界で最も優れているまたはお客さまの条件にフィットしている商品ではない場合もあります。
そのような場合でも、取り扱い商品を営業することにストレスに感じることもあるかもしれません。
家族構成や人生設計、ライフスタイルは千差万別で、それぞれにあった保険商品を選ぶお手伝いをするのが保険営業の醍醐味のひとつだと思いますが、「1社専属代理店」は、取り扱うことができる商品が限られているため、比較した商品の提案ができないのは大きなデメリットになるかもしれません。

保険商品に限らず、商品を比較して検討するというのが、一般的になっている中、これから保険を契約しようとする方は、概ね複数社の保険を比較して決めることが多いと思います。

1社の商品しか取り扱うことができないということは、そもそも営業機会を損失している可能性もあります。

まとめ

「1社専属代理店」の取り扱い商品が限定的であることに伴う、メリットとデメリットを紹介してみました。

一見すると、取り扱い商品が多岐にわたる方が、お客さまへのサービスとして適していると考えがちですが、それはお客さまに商品を説明する立場である保険営業を担う者が、すべての商品を深いレベルまでしっかりと理解し、情報を管理し続けていなければ、デメリットに転じてしまいます。

「乗合代理店」の中には、保険営業が抱く商品の理解への不安を解消するために、取り扱い商品を闇雲に広げずしっかりとセレクトしている企業や、比較が容易にできるシステムを構築している企業などもあります。

また、保険営業をバックアップする事務方の機能が充実している企業もありますので、転職を検討する際には、詳しく確認してみることがいいでしょう。

保険商品は、誤った理解をお客さまに与えてしまってはならない商品が故に、情報の管理はとても大切ですから、自分の適性を踏まえた上で、どのような代理店を選ぶべきなのかを検討してみてください。

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